III. 情報化時代の南北朝鮮関係
南北頂上会談において知られたように、金正日は、韓国のTV放送を喜んで視聴している。これを通して推論できるのは、韓国TV放送が金正日を始めとした北朝鮮指導部に「外部世界の窓」としての役割を遂行する可能性である。平壌で韓国TV放送を視聴するための特殊装置が20)専ら金正日だけのための設備だと見られないだろうし、従って、対南事業担当者及び党・政幹部の一部は、これを視聴しているであろうし、韓国放送視聴時の言語便宜性、速報性等を勘案すると、韓国TV放送、特にニュース・プログラム等は、韓国内消息を把握するための手段であるのみならず、全世界の動向を把握する重要な手段として機能する可能性が大きい。
北朝鮮がネットワーク・コミュニティに接近する場合、韓国TVが世界への窓として機能しているように、韓国のインターネット網に依存する可能性が大きい。その理由は、何よりも、第1に、ハングルを使用している言語の便利性であり、第2に、韓国のインターネット活用水準が世界的で、各種情報を検索するのに必要な便利なノウハウを蓄積しているためである21)。各種検索エンジンが分野別に体系的に良く整理されているのみならず、翻訳されたものであれ、さもなければ、自主生産されたものであれ、ハングルにされているデジタル情報も少なくない。従って、北朝鮮の利用者が韓国の各種ウェブ・サイトを先ず利用するのは、再論の余地がない。このような点において、インターネット上における北朝鮮に対する韓国の一本的な情報伝達は不可避で、これは、肯定的に対北朝鮮情報影響力、即ち、北朝鮮の対南情報依存に発展し得るであろう。
結局、肯定的に、南北朝鮮の共同ネットワーク・コミュニティを構成できるものと展望することができる。しかし、北朝鮮の情報化方向が徹底した統制下に行われるであろうという点も否認できない。このような点において、肯定的な側面のみならず、否定的な側面が同時に存在し得る。以下では、サイバー空間において南北間交流、協力が活発に行われ得る部分とそうではない部分を各々肯定的側面と否定的側面という名前に大別して見てみる。
1.肯定的側面
サイバー時代の南北関係発展は、先ず南北朝鮮間の通信分野協力から模索されなければならず、情報、社会開放に消極的な北朝鮮の変化を韓国が積極的に誘導する方向で進行されなければならない。
このためには、第1に、南北朝鮮間通信網を連結し、過去、ドイツ政府が統一過程において、東西ドイツ間通信インフラ統合のため、「テレコム2000プロジェクト」
を構成したように22)、積極的な南北朝鮮通信網統合構築事業が構想、推進されなければならないだろう。
現在、南北間の通信回線は、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)の軽水炉事業用に韓国−日本KDD−インテルサット−平壌−新浦区間に8回線(1997.8.4開設)と現代の金剛山観光事業通信回線として、オンセ通信が運用している韓国−日本IDC−インテルサット−平壌−元山−温井−長箭区間に8回線(1998.11.17開設:観光船3回線、温井里温泉場1回線、長箭港建設現場2回線、現代
峨山事務所2回線)を運用しているが23)、これら回線の数を増やして、南北朝鮮間通信を円滑にするのみならず、北朝鮮が世界の情報化ネットワークに参加するように誘導する方案が積極的に模索されなければならない。このため、北朝鮮がインターネットの本ネット網にケーブルを連結するのみならず、北朝鮮内のイントラネット構築に関心を傾けると同時に、北朝鮮のインターネット普及のための支援も考慮しなければならない。
特に羅津、先鋒自由経済貿易地帯と南浦公団等のイントラネット構築を先ず先行しなければならず、インターネット接続と普及のため、コンピュータとモデム等、ハードウェアとソフトウェア・プログラムを支援し、北朝鮮が
全国に敷かれた既存の有線放送網を利用できるように、必要な技術と装備を支援する方案も考慮できるだろう。これと共に、北朝鮮が.kp住所を活用できるように支援することも、考えてみなければならないだろう。
北朝鮮への韓国ハードウェアとソフトウェア普及が増える場合、これは、結局、北朝鮮の対南情報依存度を高める結果をもたらすだろう。例えば、北朝鮮の公式ホームページ「朝鮮インフォバンク」は、韓国企業が開発し、無償配布している検索エンジンを使用していることから、そのプログラムと関連した
諸般の問題は、韓国側に依存する外ないだろう。このためには、プログラム利用権を安い価格(又は無償)で北朝鮮側に提供することが必要だが、個別ソフトウェア開発者が北朝鮮側と接触して解決するのは難しいだろう。従って、南北間情報通信協力が進行する過程の中で韓国ソフトウェアを包括的に提供するための南北朝鮮の責任ある機関間の合意が行われる方法が相応しいものと考えられる。
また、ハードウェアと関連しても、現在、朝総連を通して日本製中古コンピュータが北朝鮮に多く入っているが、韓国のコンピュータと関連部品を北朝鮮に搬出することも、南北朝鮮の通信網統合に助けとなるだろう。但し、北朝鮮が今もテロ国に指名されており、テロ国には、新技術が適用された先端装備を搬出できないようにしたワッセナー協約(The Wassenaar Arrangement)を遵守すると同時に、我々の安保を勘案しつつ、ハードウェア搬出が行われなければならない点が重要な課題となるだろう24)。
第2に、ハングル・コードと字版の統一等、標準化問題である。これは、非常に至急な課題で、北朝鮮が韓国のソフトウェアとデジタル資料を活用するためには、ハングル・コードを統一することが必要不可欠である。コードが統一されていなければ、韓国のソフトウェアとデータベースが互いに交換されず、無用の物となるためである。また、北朝鮮は、キーボードを
設計するに当たって、「子音+母音+子音」で構成されたハングルの特性を考慮して、母音より多く使われる子音を右手で打てるように、字版の右側に配列しており、南北朝鮮は、データ入力手段である字版でも、完全に相違する。
従って、南北間の当面のIT協力のみならず、統一以後に備える次元においても、電算標準化は、必須不可欠だが、標準化過程において、韓国側既存標準が修正されるとすれば、夥しい修正費用が発生するだろう。
そうだといって、韓国側方式が標準として採択されなければならないことを一般的に主張することができず、また、韓国側方式の非効率性も、指摘され得るだろうが、費用、普及率、便利性等を総合的に考慮した標準化基準が作られなければならない25)。
このような点から見れば、南北朝鮮間のハングル・コード標準化問題は、非常に解決が難しい難題だと言える。それにも拘らず、南北朝鮮が統一したコードを共有しなければならないのは、余りにも明白である。新しいコードで標準化し、これを交替させるために随伴する費用を考えれば、北朝鮮側が韓国コードと体系を受容する代わりに、北朝鮮側に適切な経済支援を提供することも、効果的であり得るであろう。そして、当面、南北朝鮮間ハングル・コード変換プログラムを完成し、北朝鮮側に積極的に普及する必要もある。
第3に、南北朝鮮共同のネットワーク・コミュニティを創設していくことに当たって、韓国が主導権を掴み、「情報供給国」とならなければならず、このためには、質の高い情報を提供できる能力を拡大させることが一次的課題となるだろう。特に、各種ハングル・ウェブ・サイトを統合して、散在するデジタル情報を体系的にデータベース化する作業が推進されなければならない。これは、南北情報通信協力の次元
においてではなく、韓国の国力伸長のためにも、必須不可欠であろう。即ち、ユダヤ人達が「ユダヤ通信網」(Jewish Communication Network)を構成しているように、世界各国に
散らばっているハングル・ウェブ・サイトを全部収録し、これを体系的に分類、検索できるポータル・サイトを構築することによって、羅針盤の役割を遂行するようにしなければならないだろう。
以上のような南北朝鮮間ネットワーク協力を通して得られる利益は、大体次のように考察することができ、北朝鮮の情報化水準が高まるほど、その効果は、大きく現れるだろう。特に、北朝鮮の情報化水準が劇的に向上し、北朝鮮住民の自由なネットワーク接近が可能になれば、ネットワーク上での南北朝鮮住民間の「事実上の統一」も行われるだろう。しかし、この場合をその場で仮定するのは難しい。
第1に、社会文化的次元において、南北間通信情報交流、協力は、民族同質性回復のための共同の場として作用し、民族共同体をネットワーク上で予め具現できるという点において、南北関係発展と統一に寄与する。ネットワーク上で南北朝鮮の社会、文化、学術情報等を容易く取得できれば、これが南北朝鮮住民の相互理解を増進させる動機として作用するだろう。民族共同の
主題を 둘러싼
共同研究も、インターネットを通して可能であり得、インターネット上の共同会議開催も行われ得る。
更にネットワークを通して、離散家族の対面が即刻的に行われれば、インターネットが朝鮮半島の緊張緩和と統一雰囲気造成に寄与する側面は、この上ないものと見られる。現在、韓国で運営されている離散家族と関連したウェブ・サイトは、数え切れないほど多いが26)、これらサイトを全て統合するポータル・サイトが作られ、北朝鮮側がこれに参加すれば、「離散家族ネットワーク面会所」を容易く設置できるだろう。北側離散家族が自宅から、又は少なくとも北朝鮮各地域に設置され得る「離散家族ネットワーク面会所」において、南側離散家族と仮想であるが、対面できるだろう。
第2に、経済的次元において、南北経済交流、協力を加速的に発展させる効果を有するのみならず、北朝鮮経済を発展させるための社会基盤施設の拡充という点において、北朝鮮の経済安定と、進んで統一費用の節減効果をもたらすだろう。特に上で論及したように、今後情報化されれば、されるほど、生産費節減効果は、この上なく現れるだろう。
第3に、政治的次元において、南北間の情報交流は、双方の透明性を増大させることによって、肯定的に政治的信頼を構築する効果をもたらす。
2.否定的側面
南北間の情報通信交流、協力は、北朝鮮の社会開放と経済発展、そして南北統一を促進させる方向に作用できなければならない。しかし、北朝鮮では、資源の中央集中的配分が国家の統制下に行われているために、南北間情報通信交流、協力が歪曲される素地もある。特に南北間の協力により、電気通信施設のような社会間接資本を設備する場合、これが体制維持に乱用される可能性がある。更に、北朝鮮の電気通信施設は、一般住民よりは、行政や軍事組織運営に優先順位が与えられ、これを中心に構築されているため、南北間の情報通信協力が南北関係に否定的影響を及ぼす可能性を排除できない。
北朝鮮は、1996年12月、カナダ等、親北在外同胞達を利用して、20余個のインターネット・ウェブ・サイトを開設し、各種北朝鮮関連情報を英語と日本語で提供し始めた。特に、北朝鮮は、1997年1月、日本において、朝鮮中央通信社ウェブ・サイト(http://www.kcna.co.jp)を開設し、公式ニュースを送出し始めた。金正日総秘書の「偉大性」と「社会主義
最後の堡塁国家」としての北朝鮮体制を宣伝するのに力を注いでいるこれらサイトは、決して国内用ではなく、明白に韓国人ネットワーク・ユーザー達を目標にして開設されたものである。
韓国の現行法により、北朝鮮が開設したインターネット・サイトに単純接触する行為を規制する根拠はない。但し、国家保安法の「利敵表現物政策、頒布罪」規定に従い、「利敵の認識」を有して、接触し、検索する場合には、処罰が可能なものと見ている。言い換えれば、利敵性があるインターネット・サイト情報をダウンロード(又は出力)し、利敵目的遂行のため伝播する場合以外には、処罰されない27)。
万一、北朝鮮の宣伝、扇動戦術を憂慮して、韓国住民がこれらウェブ・サイトに接近できないように、韓国政府がいくら努力したとしても、インターネット上でそれを源泉的に封鎖、遮断するのはほぼ不可能に近く、北朝鮮も望めば、新しいサイトをいくらでも開設できるだろう28)。あたかも、淫乱サイトの開設と接近を防げないのと同様である。また、北朝鮮の衛星TV放送と関連して、現在、韓国政府は、制限的な視聴を許容しているが、万一、北朝鮮当局がしようとすれば、北朝鮮が衛星放送をデジタル化し、インターネット上にこれを送出することも、決して難しいことではない29)。
これは、サイバー時代に韓国の住民達が自身の家の中で、北朝鮮といくらでも、自発的に(同時に秘密裏に)接触できるようになったことを意味する。これは、南北朝鮮関係のみならず、韓国の国内法的次元でも、少なくない問題点を誘発し得るであろう。
北朝鮮が電気通信事業の一次的課題として、党の路線、政策と主体思想を伝播、宣伝することを設定しているという北朝鮮の対南サイバー攻勢は、南北情報通信協力発展にも拘らず、継続されるだろう。北朝鮮の情報化が北朝鮮住民の自由なインターネット接近という水準に発展しないであろうし、持続的に北朝鮮当局の統制下に
置くためになおさらである。
勿論、北朝鮮社会を肯定的に開放する効果も明らかである。「朝鮮インフォ・バンク」には、開設されて、普通のウェブ・サイトと同様に、訪名録も設置された。当初には、「朝鮮インフォ・バンク」の宣伝に感動したネチズンの所感で訪名録が埋まるものと期待したのかも知れないが、その後、恐らく、北朝鮮体制を批判する文が掲載されるや、密かに訪名録を閉鎖してしまった。これは、インターネットが北朝鮮に与え得る社会的開放性を意味する。ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)の単方向HTTP(Hypertext Transfer
Protocol)の不便さを補完するために、発展したのが双方向CGI(Common Gateway
Interface)であることから、北朝鮮がウェブ・ページ内CGIをなくした措置は、インターネット発展に対する逆行である。しかし、訪名録閉鎖だけでは解決できない開放的効果がインターネットを通して、北朝鮮社会に伝播する
ことに間違いなく、また、訪名録を閉鎖するように導いた韓国ネチズンの健全な対北認識は、高く評価されなければならないだろう。これは、北朝鮮の衛星TVに対する韓国住民の視聴率が極めて低調なことでも例証されている。
そうだからといって、これがサイバー世界を通した北朝鮮の宣伝、扇動攻勢を
憂慮しなくても良いという意味では決してない。サイバー時代の南北関係において、憂慮されるだけの事項として考慮されなければならない否定的側面を個人的次元と社会的次元に大別してみれば、次の通りである。
第1に、北朝鮮がインターネットを通して、韓国住民個々人を宣伝対象にする可能性に対する憂慮である。北朝鮮が開設したウェブ・サイトを韓国ネチズンが自発的に訪問する場合以外にも、北朝鮮は、E-mailを通して、韓国住民と直接接触することもある。韓国住民個々人の正確なE-mail住所を見つけ出すのは、簡単ではないだろうが30)、少なくとも、誰の所有なのかは分からないが、韓国内に特定のE-mail住所が存在している点を見つけ出すのは難しくないだろう。また、前者の場合でも、国内ISPをハッキングすれば、決して難しいことではない。このように、韓国の個人に北朝鮮の特定団体又は個人の名義とされた宣伝、扇動次元のE-mailが定期的に配達されることもあるだろう31)。
問題は、E-mailだけではない。韓国の携帯電話普及率は、世界的水準であり、このような趨勢でいけば、いつかは全ての国民があたかも住民登録番号を持つように、各自の個人電話を携帯して
通うだろう。21世紀のどの時点よりも進歩した通信技術を下地に北朝鮮側が韓国内の無線電波を盗・監聴する可能性はさておいても、若しかすると、北朝鮮側がE-mailを送るように、個人の携帯電話に音声で直接接近する可能性も排除できない32)。
このような問題は、現在の技術水準にその場で現れ得、北朝鮮が情報通信手段を対南宣伝、扇動のため、積極活用する可能性を憂慮するもので、特に個人を対象とした直接的かつ執拗な宣伝、扇動の可能性を憂慮するものである。ネットワーク上では、匿名性があり、秘密がある程度保障されるのみならず、E-mailは、一対一の排他的接触の形態を
取ることから、源泉的に事前統制が不可能である。
北朝鮮は、北朝鮮体制と政策に対する宣伝、扇動のみならず、進んで韓国の大選と総選等、国内政治日程に介入することもあり、多様な懸案において、社会世論を分裂させる積極的な手段として、インターネットを活用することもある。
第2に、北朝鮮が韓国の電算網を撹乱する可能性、即ち、サイバー・テロに対する憂慮である。北朝鮮が対南赤化戦略を放棄しないとする北朝鮮が交通、金融、電気、通信、水資源網等、韓国の基幹ネットワークを攻撃する可能性を排除できない。更に、戦争概念がコンピュータ等、先端装備を動員した情報戦様相に変わっており、サイバー・テロの可能性は、更により大きな意味を帯びる。情報戦は、ハッカー、犯罪、テロ組織から自国の情報通信網を保護する消極的な概念から、必要時には、敵対勢力の情報通信網を攻撃し、戦闘力に損傷を
負わせる積極的な概念を包括する。人命殺傷に重点を置いた従前の在来戦とは異なり、コンピュータ及び電算網を攻撃対象にする情報戦は、少数の人員と少ない予算でも、世界のどこにでも無制限的な攻撃を加えられる点において、在来戦とは比較できない
恐るべき破壊力を備えている。
北朝鮮のサイバー・テロの脅威を決して無視するか、看過してはならない。ハッキングやウイルス等、情報戦攻撃武器を利用、我々のコンピュータ機能を麻痺させ、コンピュータ内の資料を入手し、変更、破壊するか、情報通信機能を無力化させることは、決して仮想の
ことだけに終わらない。従って、刑法、電子通信基本法等、10余個に分散されているコンピュータ犯罪関連法体系を一元化し、保安装置開発等、防火壁のみならず、保安専門家育成等、政府は、積極的にサイバー・テロ防止対策を確立しなければならない33)。
20)北朝鮮は、先ず休戦線付近に韓国から送出された電波を受信できる デモジュレーターのような受信装備を利用し、電波を受信した後、野球中継等に使用される無線マイクロ波装備を利用し、これを平壌まで送信している。また、南北朝鮮のTV走査方式が各々PALとNTSCで、互いに異なるために、NTSC方式専用受像機を購入するか、又はコンバーターを設置して、韓国放送を視聴しているものと推定される。 「金国防委員長は、どのようにして韓国TVを視聴するのか」、『連合ニュース』、2000年6月14日、http://www3.yonhapnews.co.kr/cgi-bin/naver/getnews?052000061404100
21)インターネット利用者数は、ALMANACの統計(1999年末)によれば、全世界2億5,900万名で、その中で、1位米国が1億1,082万5千名で、2位日本が1,815万6千名で、韓国は、568万8千名で、10位を記録している。韓国インターネット情報センター(KRNIC)のインターネット統計(http://stat.nic.or.kr/public_html/iuser.html)参照。一方、韓国インターネット情報センターは、2000年3月、「リサーチ・アンド・リサーチ」に依頼し、既存の統計方式の問題点を補正した新しい統計値を出しているが、これによれば、2000年4月30日基準で、韓国のインターネット利用者数は、1,456万名で、.krドメイン数登録件数は、40万個を突破したという。『 インターネット統計月報』、2000年4月、http://www.nic.or.kr/krnic/home/stat/cgi-bin/stat_board/mon/rep200004.zip
22)1990年に樹立された「テレコム2000」は、1990年から1997年末までの7年間、計600億マルク(約32兆ウォン)を投資し、東ドイツの情報通信インフラを西ドイツとほぼ対等に向上させるもので、次を参考。「南北通信統合の参考書、Telekom 2000プロジェクトとは」、『inews24.com』、2000年4月9日、http://www.inews24.com/news/news_view.asp?g_serial=2142&g_menu=020500。ソン・ヘリョン、「ドイツの統一を前後した情報通信変遷:放送・通信政策を中心に」、『情報化ジャーナル』、第4巻4号(1997)、http://ncadl.nca.or.kr/data/journal/1997/4-rp3f.htm
23)「南北頂上会談を契機に見た南北通信協力の展望」、『連合ニュース』、2000年6月16日、http://www3.yonhapnews.co.kr/cgi-bin/naver/getnews?062000061601700。金ジュジン、「北朝鮮の通信現況」、http://hpe60.ibl.co.kr/dprkdoc/doc/북한의 통신현황.zip
24)ワッセナー体制は、対共産圏輸出統制(COCOM)崩壊以後、在来式武器が紛争多発地域、テロ支援国に拡散するのを防止する目的で、武器類及び武器製造に使用され得る産業用物資の輸出を統制するために設立された他者間輸出統制体制で、我が国を含めて、33カ国が会員国として参与している。1999年12月に開催されたワッセナー体制総会では、規制基準を大幅に緩和し、韓国政府 は、これに従い、2000年5月22日、戦略物資輸出入공고改正案を作り(http://www.etnews.co.kr/TK/search_etnews_content?200005230153|01)、米国も、2000年6月19日、対北経済制裁の一部緩和施行措置を発表 (http://www3.yonhapnews.co.kr/cgi-bin/naver/getnews?712000061900300)した。米国は、北朝鮮のテロ支援国及びミサイル技術統制体制(MTCR)違反国 としての制裁措置は、今回の措置から除外したことによって、武器等、軍事用物資と軍用及び民間用として二重に使用できる敏感な物資の交易は、依然禁止した。しかし、これによって、過去50余年間禁止されていた米朝間交易及び金融取引が再開され、北朝鮮は、原資材とその他製品を米国に輸出できるようになり、凍結資産が解除され、両国間航空及び海上交通も、再び開かれた。ワッセナー体制に対しては、韓国貿易投資公社北韓室がインターネット・ホームページに紹介した資料全文 (http://nk.joins.co.kr/top_des2.asp?desno=3357&inputdate=20000124)参照。
25)南北朝鮮を始めとする中国、米国、日本等の学者達は、1994年8月、延吉で開催された「コリアン・コンピュータ処理国際学術大会」を4回開催し、コンピュータ用語、コンピュータ符号体系、字母順序、字版配列等、計4部門の「ハングル(チョソングル)情報処理標準勧告案」 を作った。この勧告案は、南北間の最初の情報通信分野標準案という点において意義があるが、南北両側により、全く実践されていない。「統一に備えた南北情報通信交流方案」、『電子新聞』、1999年5月19日 、http://www.etnews.co.kr/TK/search_etnews_content?199905190067|02。「南北間「ウリマル」、「ウリグル」使用に合意」、『連合ニュース』、1994年10月29日、http://www3.yonhapnews.co.kr/cgi-bin/naver/getnews?061994102900800
26)韓国福祉財団の「恋しい家族探し」(http://www.reunion.or.kr)、(株)コリア・サイバーネットの 「恋しい国」(http://www.kcnc.co.kr)、KBSと以北7道民会の「インターネット離散家族探し」(http://www.who119.com)、(株) ネツウォンの「ピープル・ネツウォン」(http://people.netswin.co.kr)等があり、「人を探します」(http://www.findfriends.com)、「PCは、 人々を載せて」(http://www.1052.net)、「会いたい人探し」(http://finding.co.kr)、「ユニオン・コミュニティ」(www.unionzone.com)、「朝鮮インターネット」(www.dprk.com)等も、離散家族探し掲示板を運営している。
27)現在、「朝鮮インフォバンク」のような北朝鮮ウェブ・サイトに単純訪問する場合は、問題視されないが、会員に加入する場合には、北朝鮮住民接触申請を行い、承認を受けなければならない。
28)あるとき、情報通信倫理委員会は、国内ISPをして、国内でインターネット利用者がKCNA等、親北朝鮮サイトに接近できないように
源泉封鎖する措置を取った。
29)北朝鮮は、1999年10月10日から、衛星TV放送を開始した。韓国政府は、10月22日、国内放送社等、マスコミ社の場合、北朝鮮の衛星TV放送を直接受信、活用できるようにし、一般国民も、統一教育院、北韓資料センター等、特殊施設で視聴できるように決定した。しかし、それにも拘らず、事実上、個人が直径3m以上のパラボラ・アンテナとコンバーターを設置すれば、単純個別視聴が
いくらでも可能である。しかし、北朝鮮衛星TV放送は、画一的で、体制宣伝一色で、韓国国民の関心を惹き付けていないものと現れた。統一部は、政府の北朝鮮衛星TV視聴許容以来、100日間でただ146名だけが北朝鮮TVを視聴したと、調査結果を発表したことがある。「北朝鮮衛星TV、一般人の関心
惹かず」、『連合ニュース』、2000年1月29日
、http://www3.yonhapnews.co.kr/cgi-bin/naver/getnews?142000012802900
30)このような点において、国内外ISPを中心に韓国住民のE-mail住所を
見つけ出すための北朝鮮側の間諜活動を想定してみることもできるだろう。これと共に、北朝鮮は、韓国の住民登録電算化に従い、E-mail住所のみならず、個人情報全般に対する情報を入手するための努力も積極的に傾注するだろう。これと関連して、金剛山観光客の人的事項が北朝鮮側により追跡されている点も、注目される事案である。
31)例えば、北朝鮮が韓国住民の誕生日に合わせて、金正日の名義で誕生祝賀カードをE-mailで発送することができ、韓国住民が北朝鮮側にE-mailを送ることもあるだろう。
32)実際に、1999年9月には、E-mailを利用した最初の間諜行為が摘発されたという報道があった。「初摘発されたインターネット接線「サイバー間諜」・・・民革党事件」、 http://nk.joins.co.kr/top_des2.asp?desno=733&inputdate=19990909.
33)「<社説>サイバー・テロ対備専担チーム創設」、『電子新聞』、1999年3月29日、http://www.etnews.co.kr/TK/search_etnews_content?199903290018|11参照。
最終更新日:2003/12/16